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母はきれいだった

 
 結局 半年経ってしまったね

と妹が言った。
そう、前に母を見舞ったのは入院中の5月はじめだった。

会いに行かなくてはと思いつつ,暑さに負けて、残暑に苦しみ,台風だ、何だと先延ばしして。

半年ぶりに会う母は退院して,前にお世話になってた介護施設へ戻っていた。

元気な頃の母は美しかった。
いつも身ぎれいにしてて
洋装でも和装でも人が振り返るほどに素敵に着こなす昭和一桁生まれであった。
自分で器用にカーラーを巻き、ささっとアレンジしてた。
もともと柔らかいウエーヴがかった毛質でショートでもロングで結い上げることだって、どんなヘアスタイルでもお手の物だった。
(直毛の私にはまねしようたってできません)

私が小学生だった頃のクラスの悪ガキどもは,参観日に私の母が教室に現れると「○○子のおっかあがきたぞ」と騒いだ。


そんな母が体も頭も衰え施設に入ったのが3年前、今年に入ってとうとう食べられなくなってしまい、痩せ細った。
頬は痩けて目は落ちくぼみ,骨に皮膚がはりついた状態だった。
5月に会った時、母は点滴による最低限の栄養によって命をつなぎとめていた。

その母が美しさを取り戻した。
顔はいくらか丸みを帯び、白い肌には張りがあり、羨ましいような美しい銀髪は少し伸びてはいたけれど,「そろそろカットしてもらえるね」と妹が言った。

今にも語りかけてくれそうなその目は何を見てるのだろう?
そっちはどんな世界なの?
私のこと、わかる?

何度も呼びかけたけれど、ぱっちり開いた目はまばたきすらなかった。

認知症高齢者の終末期の胃瘻についてはここ数ヶ月いろいろ考えた。

今となって言えるのは
心配もなく苦しみもなく
穏やかに息をする

それは神様がその人に与えた最後の平安であるということ。
  

白い秋明菊が今年はたくさん咲いた。
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私は欲張りなので、よそでピンクの秋明菊を見るとそれも植えたくなる。


サルビア アズレア
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大好きな花だけれど、切り戻さないと手に負えなくなる。
だからもう一度苗から仕立て直し。
来年こそ!

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